[{"onix":{"RecordReference":"9784788514638","NotificationType":"03","ProductIdentifier":{"ProductIDType":"15","IDValue":"9784788514638"},"DescriptiveDetail":{"ProductComposition":"00","ProductForm":"BA","ProductFormDetail":"B108","TitleDetail":{"TitleType":"01","TitleElement":{"TitleElementLevel":"01","TitleText":{"collationkey":"ニンシンキカラニュウヨウジキニオケルオヤヘノイコウ","content":"妊娠期から乳幼児期における親への移行"},"Subtitle":{"collationkey":"","content":"親子のやりとりを通して発達する親"}}},"Contributor":[{"SequenceNumber":"1","ContributorRole":["A01"],"PersonName":{"collationkey":"オカモト ヨリコ","content":"岡本 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1951\/1961）。これはつまり，人の乳児は未成熟な状態で生まれてくるので，生まれ落ちたあと，自力で生命を維持することが困難であることを示している。出産後には乳児は子宮の外にいることになるが，胎児と同じくらい保護された環境が必要であるということである。つまり，ポルトマンの説に従うなら，ヒトは，大人からの世話や保護，すなわち子育てを前提に進化してきた動物であることを示している。したがって，ヒトにとって子育ては自然の摂理といえるかもしれない。\n\n　系統発生的時間軸において自然の営みである子育てが繰り返されてきたが，そのことと，一個人として，ある時代のあるコミュニティに暮らす親にとって，個人史的時間軸における親への移行が当然のものと感じられるかどうかは別である。子育てが当然視され，その背後にある親個人の努力や工夫が焦点化されないこともある。自身が親となったとき，親への移行のプロセスにおいて予想しなかった違和感を抱く人がいるのは，このような感覚のなかで育つことによって，親の絶対視に疑問をもつ機会がないままそれまでの人生を歩んできたせいかもしれない。\n\n「赤ちゃんが生まれて，はじめてだっこしたとき，ちょっと照れくさくって，小さな声で赤ちゃんの名前を呼んだ…」\n\n　この例（岡本，2009a）は，ある母親が子どもを産んだ直後の様子を語ったものである。妊娠中に夫とともに考えていた名前があり，子どもが生まれたらその名前を最初に呼びかけようと考えていた。しかし，いざ，出産を終え新生児を抱いて呼びかけようとしたとき，何とも言えない戸惑いの感情が湧いてきたというのである。子どもはまだ小さくて呼びかけてもわからないだろう。なによりも照れくさい。しかし，せっかく考えておいた新しい名前を呼びかけたいという思いは強い。このようないろいろな思いがめぐり，呼びかける声が小さくなってしまったというのである。この例には，最初の段階において，親がいかに親でなかったか，つまり，親としていかに初心者であったかがよく表れている。おそらく，出産後の数ヶ月あるいは数週間で，親は自分の子どもの名前を呼ぶことに慣れるだろう。子どもの名前はその子を表すことに相応しくなり，名前を呼ぶことに躊躇する親はいなくなる。我が子の名前を小さな声で呼んだときから，躊躇なく名前を呼べるようになるには，どのような親への移行のプロセスがあったのだろうか。本論文では，“親になる”というのは，どのようなことか，それはどのような変化を意味するのかについて，検討したい。\n\n　一方，発達心理学においては，子どもの側から親を捉えようとする試みが先行した（岡本，2013a）。親とは子どもの発達に影響が大きい存在，あるいは，子どもの発達には不可欠の存在ということを否定できない。とくに子どもの発達を対象とした発達心理学の研究では，親を子どもの発達における入力刺激と捉えていることがある。それ自体は，親子のやりとりも子か親のどちらかに焦点化するという研究の方法論上しかたのないことかもしれない。しかし，親が子どもの発達の入力刺激だという，そのような発想が実際の子育ての現場にもち込まれるとき，入力刺激としてよい親と悪い親という評価を副産物としてきたことも事実である。子育てとは本来，文化的歴史的なもので，その地域，その時代によって異なり，流行もある。当然，子育てに正解はないはずだが，発達心理学における「よい親モデル」はこのように「すべき」といった，子育ての「べき論」を生むことになった。\n\n　さらに，この「べき論」や「よい親」プレッシャーへの反動もある。子育ての「べき論」に沿った子育てをするよい親の，犠牲的な子育てに対して，力まず無理せず「手抜きバンザイ子育て」が肯定されるようになってきた。もちろん，手抜きを許さない子育てがよいとは思わない。むしろ，適度な息抜きや手抜きは，親だけでなく子どもにとっても必要だろう。しかし，この「手抜きバンザイ子育て」が手抜きを謳う限り，必ずしも親を救わない。たとえば，社会的なルールを子どもに教えることや子どもの甘えたい気持ちに存分に応えることなど子育てに必要な何かは，もしかすると今・ここという場で手抜きをして避けることができるかもしれない。しかし，それがその時期の子どもに必要なことであれば，その時期のどこか別の機会に向き合う必要があるだろう。でなければ，手抜きが手抜きである以上，必ずそのツケが回ってくる。また，なにより，子どもの発達を願う親にとっては，自身の行為を手抜きと捉えていることそのものが，子どもへの罪悪感につながってゆく可能性もある。\n\n　発達心理学における多くの研究において，親を子どもの発達の入力刺激と捉えてきたため，親が子どもを育てる側面にばかり，注意が向けられてきた。しかし，親が発達する存在であるという立場に立つなら，親子関係のなかで，子どもが親を育てる側面もあるはずである。そして，発達心理学がそういった子どもが親を育てる側面に着目することで，親子の新たな発達観が導かれるかもしれない。\n\n　本論文では，親を発達するものと捉え，親への移行（transition to parenthood）のプロセスを親の視点から明らかにしたい。そのためにまず，第Ⅰ部においては，親への移行について，妊娠期や乳児期の親子関係や親子コミュニケーションを含めた先行研究を概観する。現代における子育ての現状を踏まえ，親への移行を文化参入と捉え直す。また，実証研究に先立って，妊娠期および乳幼児期の親子関係について先行研究を概観し，方法論についても整理する。\n\n　第Ⅱ部では，親への移行について5つの実証研究を通して明らかにすることを目指す。まずは，子どもをもつ前と，子どもをもったあとの，ちょうど中間にあたる妊娠期に目を向ける。妊娠期は，自分が親になろうとしていることを知っており，しかし，まだ子育ての対象となる子どもは胎内で，具体的な子育て実践は始まっていない。その意味で，子育ての準備期といえるだろう。この妊娠期における親への移行を探るため，妊娠期に唯一我が子を直接感じることのできる感覚である胎動に着目する。研究1では，妊婦に胎動についての日記の記載を依頼し，それを胎動に対する語りとして検討し，妊婦の胎動への意味づけの過程をモデル化することを試みる。研究2では，妊婦の意味づけの変化を支えているものは，胎児の動きの変化ではないかと予測し，その動きの変化を妊婦の視点から捉えるため，胎動日記において胎動の感覚を表現するために用いられたオノマトペに着目し，オノマトペの形式的側面（具体的には，第一音や清音・濁音の違い，語基の変形や反復など）を分析する。\n\n　さらに，出産後子どもと対面してからの親への移行については，子育て実践において欠かせない乳児の身体的世話と，その世話を支える親子コミュニケーションの発達という二つの視点から親への移行を明らかにすることを目指す。乳児の身体的世話については，乳児の生命維持に直接関わるものであり，なかでも授乳は乳児の身体的世話の核をなし，親の身体的負担が大きい。研究3では，母乳か人工乳かの選択を含めた授乳のやり方全般についての授乳スタイルが，どのように定着していくかについて，母親が書き留めた授乳日記を分析する。授乳スタイルの定着を概観したあと，定着しなかった親の日記に焦点化してより詳細な分析を行う。一方，親子コミュニケーションの発達については，親子のもつ非対称性を，親がどのように捉え，どのようにそれに適応してゆくのかは，親としての充足感や心地よさに直接関わるものであり，親へと発達するプロセスそのものといえるだろう。研究4および研究5では，乳児がしゃべることのできないコミュニケーションの相手であるという点に着目し，前言語期の乳児とのやりとりを親がどのように成り立たせているのかについて検討する。研究4では，親が乳児の言語未習得を補うかのように，乳児の思考や感情を代弁していることを見いだし，子どもの声を帯びた親の発話である代弁とはどのようなものか，代弁にはどのような種類があるのか（あるいは，ないのか）について検討する。研究5は，研究4を受け，親が用いる代弁がどのような機能をもち，発達的にどのように変遷するかについて検討したい。\n\n　なお，第Ⅱ部における5つの実証研究のうち，研究1，研究2，研究4，および，研究5は，妊娠期から小学校入学までを追った家庭訪問による縦断研究プロジェクト（詳細は，岡本・菅野，2008）の一部である。\n\n　最後に，第Ⅲ部において，それぞれの研究結果を踏まえ，今日の発達心理学に本論文が貢献できる知見を整理し，親への移行についての新たなモデルを提唱することを試みる。5つの実証研究を整理したうえで，親の視点からみた親への移行について，対話的自己の概念に即して移行のモデル化を試みる。さらに，子どもが親への移行を支える側面，および，子どもの発達への影響についても議論する。また，本研究の貢献として，親の情緒調整の側面についても述べる。そのうえで，本論文の限界と今後の展望について整理する。","ndccode":"","kankoukeitai":"","sonotatokkijikou":"","jushoujouhou":"","furokusonota":"","dokushakakikomi":"","zasshicode":"","hatsubai":"","hatsubaiyomi":"","author":[{"listseq":1,"dokujikubun":""}],"datemodified":"2016-03-18 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