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      "maegakinado": "はじめに―非血縁親子における〈血縁〉とは何か（一部抜粋）\n\n私は次第に事件そのものよりも、親子とは何か、血のつながりとは何か、といったものに関心が集中していた。事件は忘れられても、親と子のあいだにある「血と情」は永遠のテーマであるはずだ。答えのない方程式を、彼らはどのように解こうとしているのか、私はますます興味を持つようになった。（奥野修司　二〇〇二　『ねじれた絆』三九八頁）\n\n古くて新しい問題\n\n　「血を分ける」「血は争えない」「血は水よりも濃い」 親子や家族は、しばしば「血」という言葉を使って表現される。普段、改めて考えてみることすらないが、私たちはそこにどのような意味合いを込めているのだろうか。切れない絆だろうか。宿命だろうか。それとも、連綿と続く命だろうか。\n\n　冒頭で引用した文章は、赤ちゃん取り違え事件を取材したルポルタージュ『ねじれた絆』を書いた作者の言葉である。『ねじれた絆』は、出産時に産院で取り違えられた子どもを、のちに元の家族同士が交換し、その後、二〇年以上にわたって続く二つの家族の交流を取材している。そこでは、取り違えられた後に子どもを交換したことで、「情と血の、二者択一などできるはずもない課題」を「背負わされることにな」（奥野 二〇〇二：六六）った二つの家族の苦悩が描かれている。\n\n　親子と血縁は、永遠のテーマのようだ。その時その時で、取り上げられる事例は異なっても、特に「血縁関係のない」親子（以下、非血縁親子）を取り上げて、「親子とは何か」「血縁とは何か」という解けない問いが問われ続ける。ひと昔には、いわゆる「母もの」映画で、複数の母（産みの母、育ての母、義理の母など）の苦悩や子どもの出生の秘密がしばしば描かれたが（坂本 一九九七）、最近では、卵子提供、精子提供、代理出産などの第三者が関わる生殖補助医療のめぐるましい発展によって、血縁を与件とする親子観が揺さぶられ、この「親子とは何か」「血縁とは何か」という問いが再び提起されている。\n\n親子には血縁があるのが当たり前？―血縁に対する批判の噴出\n　なぜ、親子と血縁は問い続けられるのだろうか。\n　多くの人は「父、母、その間に生まれた子」という親子を「当たり前」で「普通」の親子だと考えているのではないだろうか。だからこそ、そうでない親子は、文学や映画のテーマとなったり、メディアで取り上げられたりするのだ。\n\n　しかし、このような親子観は、いつの時代でも、どこの社会でも「当たり前」で「普通」の親子観というわけではない。このような親子観は、実はそれほど歴史は古くなく、近代化という歴史の流れのなかで徐々に創られたイメージにすぎない。しかし、それにもかかわらず、親子のあるべき姿として普遍化され、現代でも法律的・社会的に強固に守られており、動かしえないものとして、個人の生き方を縛っている（野辺・松木 二〇一六）。そのため、このような血縁を与件とする従来の親子観は窮屈だとして、「家族に血のつながりは関係ない」（下重 二〇一五：一四〇）、「なぜ日本人は血のつながりにこだわるのか」（下重 二〇一五：一四二）と、しばしば批判が行われるのだ。\n\n　血縁を与件とする親子観の問題点は、第一に、時として親（主に母親）に育児を抱え込ませ、外部に助けを求められないことで、育児ストレスや児童虐待の一因になる閉鎖的な関係となることである。そして、第二に、非血縁親子を「普通ではない」と逸脱視する原因にもなり、親子関係の多様化を阻む原因にもなることである。\n\n　血縁が批判されるにつれ、最近では、「血縁を超える」というキーワードで、「生みの親が子どもを育てる」以外のさまざまな親子、例えば、養子縁組、里親養育、ステップファミリー（子連れ再婚家族）、第三者が関わる生殖補助医療（精子提供、卵子提供、代理出産）による親子など（親は異性カップルの場合もあれば同性カップルの場合もある）が、閉鎖的な血縁親子のオルタナティヴである「新しい親子」だと期待を込めてメディアなどで取り上げられている。\n\n　しかし、私たちは非血縁親子のことをいったいどこまで知っているのだろうか？\n\n「子どものため」の血縁？\n　また、近年では、親子と血縁をめぐる新しい動きがみられる。非血縁親子では、「子どものため」に、子どもと血縁が新たな形で急速に接続され始めているようだ。例えば、養子縁組においては、子どもがルーツ探しをすることは当たり前のことと考えられるようになり、生みの親との交流がある養子縁組が新しい形の養子縁組として紹介されている。第三者の関わる生殖補助医療では、子どもの出自を知る権利が強固に主張され、出自を知ることによって子どもの「アイデンティティ」が安定するという主張はもはや議論の余地のない自明のものとなりつつある。離婚・再婚家庭で育つ子どもについては、子どもが別居親と交流することは「子どもの権利」なのだと主張されつつある。また、生みの親と離されて暮らす里子についても、家族再統合が優先順位の高い目標として設定される。\n\n　なぜ、非血縁親子において、子どもと血縁を（再）接続しようとするのか。それは誰が主張しているものであり、誰にとってのメリットなのか。それは本当に「子どものため」になっているのか。いったい、今、親子と血縁に何が起こっているのか。\n\n　「子どものため」になされる主張について注意深く検討してみると、現在、日本国内には実証研究があまりないことに驚かされる。つまり国内でエビデンスが充分ではないにもかかわらず、海外での研究結果が輸入され、それが批判的に検証されないまま普及している状況なのだ。このような状況のもとで、当事者、すなわち子ども自身と、子どもを育てている親は一体何を感じているのだろうか。海外の法律・判例・支援を批判的に検討せずに導入した政策や支援は当事者のリアリティやニーズと乖離しないだろうか。これは家族の「多様化」「個人化」時代のマクロな家族政策、ミクロな支援にも密接に関わる問いである。\n\n本書の問いと対象\n本書では、冒頭で挙げた「親子とは何か」「血縁とは何か」という古くて新しい問いを、血縁に対する批判と、新しい形での血縁への接続が同時にみられる社会状況をふまえ、「今、非血縁親子に何が起こっているのか」「非血縁親子の当事者にとって、血縁とは何か」という問いに変換して考察して・・・",
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